2017年12月18日月曜日

冬、私の朝はストーブに火を起こす事から始まる。
前の晩にくべた薪が残っていれば火種になって簡単に火がつく。
すっかり燃えてしまっていると少し時間がかかる事もある。
薪ストーブのある暮らしを始めて10回目の冬なので
火を起こすのも調節するのもだいぶ上手くなった。

ストーブの上のポットにお湯が沸くまでに身支度を整える。
朝の珈琲を淹れる。

ゴーシュを開ける日は、ケーキの準備をしたり、
水出し珈琲を仕掛けたり、店を整えたり、
前の晩雪が降っていれば駐車場の除雪をしたりして午前中が終わり、
午後から夕方までカフェの仕事。

珈琲を飲みながら本を読んだり、何かをしたためたり、
外の景色をぼんやり眺めたり、と
思い思い過ごす人たちの様子を感じながら、
ネルを温め、コーヒーを淹れる仕事。

暗くなる頃店を閉め、ネルを煮沸し、店内を掃除し、
翌日のためのケーキを焼く。

晩御飯を作って食べ、片付けが全て終わると、
もうひとつの私の時間が始まる。

チェロの調弦をして、ボーイングの練習をし、スケールを弾いてから
エチュードをさらい、自分が弾きたい曲を弾く。
ストーブの中にちゃんと薪が残っているかどうか、
薪がはぜる音を時々気にしながら
自分が出したい音を探し、表現したい音楽を探す。

音楽の時間が終わると、クールダウンを兼ねてストレッチしたり
ヨガをしたり。
ゆっくり呼吸をしながら身体をほぐす。

だいたいここまでくると夜もだいぶ更けていて
翌日のことを思うと早く休んだ方がいいだろうという時間なっているのだけれど、
夜を愛する私はこの魅力的な時間をなかなかおしまいにできない。

少しだけお酒を用意して、読書の時間に移る。
今は、カズオイシグロの「日の名残り」を英語で読んでいる。
辞書を引きながら、少しづつ読み進める。
これが面白くて楽しくて、簡単には本を閉じることができない。

こうして夜は更けていき、
月浦で目を覚ましているのは、
私の他には雪原の上を4つ足で軽々移動できる動物たちばかりかもしれない・・・
という頃になって
後ろ髪引かれつつも、大きめの薪をストーブに入れて灯りを消す。

朝起きてから日が暮れるまでの時間と
日が暮れてから部屋の灯りを消すまでの時間、
私にとって同じくらい大切で同じくらい楽しい。

1日が24時間というのはちょっと短すぎる。